いつも思い付きの変わった料理ばかり作っている私ですが、そんな私にも子どもの頃から食べている味もあります。
9歳から家族の食事を作っていますから、親から受け継いだ味というのはやはり少ないのですが、これは母の作り方がベースになっている数少ない料理の中の一つです。
都市部から隣の田舎に引っ越して、数年経って土地の人たちに少し受け入れてもらえるようになり、農家や家庭菜園している家の人から頂くようになりました。
それまで冬瓜を知らなかった私に、母がこうやって食べるのだと見本を見せてくれたと記憶しています。
とにかく鰹出汁の好きな母で、鰹の濃い出汁を取って煮る。
甘味は入れても味醂を少々で、砂糖は使わず、醤油と酒。仕上げに僅かの塩で味を引き締める。あんでとじないままの冬瓜汁でした。
今、私もあんでとじない冬瓜汁も作りますし、気温が下がってくればあんでとじた一般的な冬瓜汁も作ります。
鍋一杯に煮て、写真のように冬瓜だけを器に盛って、いただくこともあります。
私だけでなく、二人の娘たちも大の好物です。
箸で口に運んで入れるのに、口に入れたら口の中で崩れて、美味しいお吸い物のような出汁がじゅわ~~~っと口いっぱいに……。
「冬瓜は飲みもの」と豪語する娘たちです。
固形のお吸い物という感じですね。
ところが、この冬瓜。ウリ科……。
私、例の軟禁生活中に完全にストレスから体を壊しまして、アレルギーが……。
原則、冬瓜は我慢。
娘が見せびらかすように食べるのを指をくわえて見ているしかありません。
でも、普段、一度作った料理は味見無しが多いけれど、冬瓜だけはちゃっかり味見してしまいます。
好きなものだから、体も頑張ってほしい……。