今流行の日本でそういう名前で売っている生クリームを挟んだパンは、本当にマリトッツォ?
全然イタリアなイメージの無い見た目に、大きな疑問が湧きました。
そこで、若い頃にイタリアで買った伝統料理の本をペラペラ……。
材料を見るとローマの伝統ドルチェに分類されている「マリトッツィ」と複数形で呼ばれるらしいものは、ローマのパンに卵と砂糖を入れた感じ。
どちらかというと厚焼きクッキーとパンの間ぐらいのものになりそうな…?
納得し難いので、作ってみることにしました。
ところで、当たり前ではあるのですが、その本は、こう、なんと言いましょうか……本格的にイタリアっぽい?のです。
はっきり言って、アバウト過ぎるレシピ本。ざっと読んでも無論ですが、材料表記の段階で既に謎の部分があります。
実験するしかない。
一回目。こんなのができました。
一番の問題は酵母菌が不明ということ。そもそも「パン種」という材料表記。
イタリアパンあるあるな感じで、それ専用の酵母で作った「パン種」だと思いますが、我が家にある原始的な酵母菌はサワドーのみ。
パンドーロのようにビール酵母系の可能性がありますが、手に入らない(あ、私は昔人間でネットショッピングしません)。
今日本で流行のものはブリオッシュ(フランス菓子パン)を使うと言われているので、材料は違うけれど、多少似たところがあるのかもと考えて、フランスパンを焼くようにイーストをミックスしたものと2種。
左がサワドーだけ、右がサワドーに普通のイースト菌ミックスです。
発酵温度も書いてありません。「暖かいところ」で発酵と……。
どう見ても、サワドーのほうが膨らんでるし……。
いつものサワドーにレーズン入れたものとあまり変わらないのは当然?
あっ?!
そして、二回目。
できました。小麦粉の違いですね。これは伝統料理です。伝統と言うからには、原則的に中力粉でしょう。
手前が完成品。サワドーにイーストを少し多めの配合で、中力粉。
奥は左手より、サワドー100%に中力粉、サワドー100%に強力粉、イーストミックスに強力粉。
発酵時間は全部で最低8時間。状態見てやっていたら10時間以上になりました。
これはクリームを挟みたいようなものではありませんし、レシピのどこにもクリームなんて一言も……牛乳さえ出て来ません。
ローマ人的伝統ならば、そもそもクリームを挟むなんてあり得ない程大昔からのものを伝統と呼んでもおかしくないでしょう。
ナイフの歯が立たず、ゴリゴリと専用鋸みたいなもので切るローマパンから想像したら、十分ケーキな食感。
直径5センチぐらいで一人でマリトッツォ(1個)と言わず、マリトッツィと何個も食べられる感じ。
オマケを包んでから焼くのも可能な焼き時間で、手で割れるし、触っても中身がバレることの無い硬さで、イタリア人でもズル不可能なサドンデス?が可能です。
味は大丈夫ですね。ほんのり甘くてドライフルーツの風味と松の実の食感が良いです。
個人的にはもう少し柔らかめの食感にしたいので、発酵温度と捏ねる時の温度にまだ問題がありそうです。
気温がぐんと上がったローマの夏みたいな日が来たら、再々チャレンジしてみようかと思います。
それでも……絶対……この「パン種」は、サワドー菌じゃない!